論文読みのコツ、これも目的意識

背景知識を身につけるために論文を読もうとする。

 

最新の情報を知りたいわけでない場合、最も有効なのは、関連論文のイントロである。

 

短いながら、まとまりがとても良い。

大きな枠組みを脳内に作り上げるのにとても良い。

 

しかし、中には短過ぎて本質的な理解には至らないものも多い。

 

そこで次は、引用文献を読み込むわけだ。

 

その際には、サマリーと対応するfigとディスカッションのまとめ部分を読み込む。

 

fig理解が困難な場合は、対応する本文を読み込む。

 

しかし、これは非常に効率が悪い。1本読み終えるのに時間がかかりすぎる。

 

できた枠組みの肉付けをさらに進めたいとすれば、その際にはreview論文が望ましいであろう。

 

以上の過程において最重要なのは、自分が今知りたいと思っている情報を明確にすることだ。

 

基本的に論文読みは、派生の派生でネットサーフィン状態になりがちである。

 

適度な派生は良いものだが、一定以上を越すと、非生産的になるので注意である。

 

だから、分岐点のごとに目的を再度捉え直す必要がある。

他者の研究理解は自分のアイデアになる。

新しい研究アイデアが思い浮かんだ!このアイデアのソースは全て自身の脳内にある知識量に依存していると考えている。

 

まず、着想には、転用と、融合の2パターンがあると思う。

 

転用とは、

Aに対し有効であったXという方法が、 Bにも有効なのではないか?

Cを解決するために何かよい方策はないだろうか??Xが有効そうだ!

Xをそのまま当てはめて、研究がうまく進むケースである。課題の規模感が小さい場合に有効となる。

 

融合は、より高次的な発想である。

大課題となった場合、単なる転用ではイマイチ、インパクトが期待できない。また、劇的な解決策となるケースは少ない。

 

類似した課題がどのようにして、解決されてきたのかを網羅的に知ることがまず、必要である。

 

但し、大抵は、方法論の周知だけでは解決されない。

 

なにか、全く別のソースからの情報とのマッチングがおきることで、革新的なアイデアは思い浮かぶのだと思う。

 

どこの脳内情報ソースと結びつくのか、どの機会になんの理由で生じるのかは分からない。

 

以上までを考えていて思うのは、やはり、着想は脳内の情報量に依存する、ということだ。

 

自身の関連分野の方法論の理解は自然と身につく。

 

問題は別の情報ソースを持つことである。

 

最も効率的なソースは、自身の研究室の他の人の研究テーマではなかろうか。

 

根も葉もない人や論文を読むことは苦痛で仕方ないだろうが、自身の研究室の人の研究となると別である。

 

話を聞くだけではなくて、分からないことを、キッチリ調べて勉強することが大切なのであろう。

 

詳細な実験条件の話や例外的な議論のところではなく、基本概念と方法論の部分を、「自分のために」抑えていく必要がありそうである。

 

発表が上手いとは、日常を制するということである

研究進捗報告会の1日前、2日前はほとんど、発表準備に時間が費やされ、研究を進めることはできない。

 

発表準備の時間がかかり過ぎている、準備過程に非効率が発生してしまっている、ということは前々から自覚していた。

 

作っては、作り替えの繰り返しが多いからだ。

 

それは、外観と細部に関する把握が不十分になっているからである。

 

外観は、発表全体の構成と枠組みであり、細部は、各項目の上手い伝え方である。

 

資料を0から一気に作ろうとすると、外観が疎かになって、細部にばかり時間を費やすことになってしまうことになりがちである。

 

そうしているうちに、外観の把握が甘くなっていて、全体を作り替える必要が生じてしまっていたり、、である、、。

 

最終的には、相手にいかに、分かりやすく、魅力的な発表になるか、を目指すのである。

 

プレゼンにおける、基本フレームワークは、①課題意識の植え付けと、②それに対するスマートな解決策の提示である。

 

このフレームワークが必要なのは、プレゼンやその準備の時に限らない。

 

日頃の解析方針や、実験方針、これを考え実行している過程においても、常にその2項目を頭に浮かべておくことが重要なのである。

 

以上は最もミクロなモジュールである。

 

ある程度の成果が得られてきた際には、よりマクロなモジュールとして、その一つの問いに対するスライドを作成することが可能となる。ここでも課題意識と解決策を強く持つ必要がある。

 

そして、最後に、各スライドを組み合わせたマテリアルが完成するということである。

 

このように、1.目的意識と2.解決策について日頃から意識を強めることで、必然と発表資料というものは出来上がってくるのだと思った。

 

つまり、発表が上手い、ということは発表準備の仕方、ではなく、日常の過ごし方が賢明である、ということを示すのだと考えさせられた。

お金を払いたくなる人材になるべく。

Youtubeのとある投資企画を見て、自身の学生生活のあるべき姿を考えなおさせられた、、。という話です。これは、大学院で研究活動を行っている多くの学生が考えなければいけない問題だと思いました。

 

それが、この動画です。

【1/3】東大に入って教育を変えたい!受験生版Tiger Funding #1 - YouTube

高校生が、東大に進学するための費用を、各教育業界の起業家たちにもらえるように、プレゼンテーションをする、という内容です。

 

この高校生(2年生)、通っている学校から東京大学の合格者が出るのは3年に1人であるそう。相当、厳しい目標に向かっているという印象だが、話を聞いているうちに、「この男、やるじゃないか!!」と思わされます。

 

過去の進研模試かな?の成績推移がまあ見事な右肩上がり、、。偏差値が65~70近くまで上がっているではないですか、、。詳しい話を聞いてみると、確かに勉強の仕方もなんとなくではなく、あらゆる工夫を講じているようである。あえて、大手予備校に通わず、補習型個別指導塾に通っているあたりからも本人の強い勉強方針がうかがえる。

 

とはいえ、これは「投資」を受けようとしています。希望額100万円だそうです。投資家はその学生の東大合格だけでなく、もちろんそのさらに先の将来にかけて、お金を出すか考えるわけです。この学生、文部科学大臣になって、日本の教育体制を大きく変えなければいけない、という壮大な目標を持っているそうです。

 

その語り口は、もはや17歳には見えません。大人4,5人を目の前に物怖じせず、強くアピール。その大きな自信には心を揺さぶられました。

 

ただしかし、「夢」を語るだけでは、人を説得できません。その現実性が伴っていないといけないわけです。「夢」が長期の目標として、それに対する、短期目標が甘かったのです。大学に入学してから実際に何をするのか、の話が一切なかったのです。

 

結果は、交渉は成立せずでした。100万をもらうのは、これほど難しいことなのか、、、。(親に毎年何百万というお金をいただいてもらっている身の私にはあまりに強く響きました。)

 

就職活動も、状況は全然、違わないなと、感じました。就職活動の場合は、企業側は100万円どころか、一年間で数百万、定年まででいうと何億、という単位でのお金を我々に支払うことになるのです。

 

もちろん、その間で我々は労働という大きな対価を支払うわけですが、同じ金額を支払うのであれば、より優秀な人材の方が良いですから、やはり、投資サイドに対し強くアピールしないといけない構図は何も変わりません。

 

先ほどのYoutubeでポイントとなった「長期目標」と「短期目標」ですが、我々就活生も、「短期目標」に対する意識の方が難しくないでしょうか。彼であれば、文部科学省大臣になるまでの道のりとして、まず東大に入ることを掲げておりませんでしたが、この次にどうするのか、は触れられなくて、、。

 

私が行きたい製薬企業における「長期目標」は、「これまで救えなかった命の数、苦しみの数を減らしていく、その過程に直接貢献したい」ということです。

 

確かにここに対する強い思いはあります。これは就職活動の軸、大前提ですよね。そのうえで、企業に私を取ってもらうための、現実性、つまり短期的な目標の設定の妥当性が問題になってきます、、。

 

「あなたが本当にその難しい課題を達成することはできるのですか??」という強い問いに対する、回答がうまく、できるのか、ですね。

 

率直な答えは、「現場に立ったことが無いので、想像が困難です」ということになってしまいます、、。しかし、周りの同じライバルよりも、本当に企業で活躍できるようになりたいと、感じているのであれば、現場に立ったことが無いなりに、できることはたくさんあると思います。

 

最低限、企業研究員の仕事内容を知識レベルでよいから、知ること。企業研究員が人事評価を受ける項目の種類、評価を上げるには、現状でどのような技術、考え方を身につける必要性があるのか、ということを理解し、行動すること、を続ける必要がありますよね。

 

つまり、目的ベースの行動習慣、これが就活までに身につけないといけないことです。

 

 

学業生活中は、いかに報告論文数を稼ぐか、という、一つの軸だけで評価が決まりますが、企業研究の場合は、どういう軸があるのでしょうね、、。

 

次の投稿記事は、そのアンサーについて、考えてみることとします、、。